牛丼
夕食に一人で「吉牛」。
これは、一抹の寂しさと悲しみを抱えて喰うもの。
仕事で疲れ…金も無く…孤独な夕食。
店の明るさも店員の明るさもマニュアル数値の通り。
「お客様席」への言葉で、もちろん私の為の言葉ではない。
牛丼「並」が運ばれてきた。私は所詮「並」である。
でも、そこから私のストーリーが始まる。
上に載っている肉を向こうの方に寄せて、空いたスペースに紅生姜を一掴みのせる。
まずは紅生姜丼を楽しむ。
ここで我慢できなくなり、味噌汁を頼む。けんちん汁では無く、粉っぽい方である。
紅生姜をひとつ残らず食いきってからではないと、肉を食べてはいけない。
肉は、うまい。やはり、うまい。
唐辛子をかける肉、かけない肉。二通りの味を楽しむ。
ここで我慢できなくなり、玉子を頼む。温泉玉子ではなく、10円安いほうである。
玉子は最初からかけてはいけない。玉子1個に対して、最初のご飯の量は多すぎる。
玉子は30回かき混ぜ、醤油は約2周半。
少し泡が入る位にかき混ぜた、卵ご飯。うまい。
ここから先は、思考を停止して喰い続ける。というか、覚えていない。
最後、味噌汁の底のわかめをすする。
喰い終わって、長居をする気は毛頭ない。店員をせかして、金を払う。
380円。
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コメント
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くすくす。
2chで有名な「汁だく」の名文の続編かと思いました。
投稿: somehow | 2003.12.30 12:34