アフォーダンスとツッコマビリティ
※先日書いた、「Blogのユニバーサルデザイン」の続きです。
アフォーダンスという心理学用語があります。アフォード=提供する、という動詞の名詞形で、ジェームス・ギブソンという心理学者が作った造語です。
椅子は人間に「すわる」ことをアフォードしている。廊下は人間に「歩くこと」をアフォードしている、と考えます。
要は「機能を有しているという情報」のことだと理解しています。
椅子は別に「座れ」と書いてあるわけではないですが、人間はそれを理解していますよね。椅子は「座る」というアフォーダンスを持っているわけです。
オブジェクト指向的に言えば、あるユーザに対するそのオブジェクトのメソッドのことですね。
最近、工業デザインの世界で、このアフォーダンスという言葉が強く言われています。たとえば、Webデザインでもそうなのですが、
◇富士通のページより
パソコンのGUIという仮想世界でも、現実世界に存在するアフォーダンスを流用している。たとえば、画面上に本物のボタンによく似せたオブジェクトを表示することは、アフォーダンス活用の好例といえる。で、Blogのアフォーダンスって何なのか。「Blogサイト」ではなく、「あるBlogの記事におけるアフォーダンス」を考えてみます。
ユーザがパソコンから何らかの操作を求められたとしよう。このとき画面にボタンがあると、ユーザは自然にボタンを押そうとする(もちろん、実際にはマウスを使ってクリックするわけだが)。さらにこのとき、ボタンを押す以外の操作はしないだろう。ボタンの持つアフォーダンスを利用することで、"押す"という操作をユーザに強制している。
この記事の結論は、そのアフォーダンスのうちの一つが「ツッコマビリティだ」と言うことです。
「ツッコマビリティ」については、木村剛さんのBlogに沢山書いてあるのですが、まあ、つっこみやすさ、ということでしょう。
で、なんで「ツッコマビリティ」なんて言葉が出てくるか、というと、まず「Blogの記事へのコメントやトラックバックを通じてコミュニケーションをとることが、Blogの重要な役割と考える。」という前提があります。一方向のメディアではない、という宣言ですね。
もっとわかりやすく言えば、「(良質な)コメントやトラックバックが沢山つくと嬉しい」ということでしょうか。
そして、「意見への同調では、TBやコメントによるやりとりが発生しにくい。いわゆる、ボケ=ツッコミのキャッチボールが、やりとりを促すのに有効である」という考えがあります。これは、経験則としてはわかりますね。
というわけで、ツッコマビリティが高いとは、こういう前提を含めたアフォーダンスが明確なBlogだ、と考えます。
さて、私なりに考えるツッコマビリティの要素としては
1.ボケ箇所が明確で、かつそんなに難しいツッコミを必要としない。
2.正面からつっこんでも、そんなに恥ずかしくない。
→“釣り”っぽさが強くない。
3.あるいは、斜めからツッコミやすい。
→ほかの視点から捉えたコメント等が考えられやすい。まだネタが新鮮で、既出の可能性が少なく、かつ柔軟であること。
4.そのBlogの作者とコミュニケーションをとりたいと思わせる要素がある。
→すごくいい記事、あるいはサイト作りをしている、等。
→あるいは、ヒット数が高いメジャーBlogだとか、Blogの作者が有名人だ、とか。
…水が欲しいとき、蛇口をひねれば水がでるとわかっていても、その水が汚そうな蛇口(公衆便所とか)はひねらないのです。
そんな感じで、デザイン心理学的なアプローチでBlogを考えると、他にもおもしろいことがあるかもしれない…。
って、何が言いたいのか、あやふやになってきたな。
ま、この記事は木村剛さんのBlog(ゴーログ)へのツッコミとして書いたものです。そういうわけで、ゴーログのツッコマビリティが高いということが、言いたかったことかな(笑。
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