五輪での長嶋監督のコメント集
銅メダルを獲得した、野球オリンピック代表。2大会ぶりのメダル獲得、おめでとうございます。
今回印象に残ったのは、「1つも落としてはいけない」という中での選手のプレーです。ヘッドスライディング、ホームランを打った後の歓喜ぶりなど、普段のペナントレースでは見せないような迫力を見せてもらいました。
そして、それと共に頭に残ったのが、長嶋監督のコメントです。一茂さんが代読したり、ファックスだったりと、結局監督自身は一度も姿を見せませんでしたが、なんだかとても印象的でした。
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○予選:キューバ戦勝利
予選とはいえ、(五輪でのキューバ戦初勝利という)私の悲願が1つかなった思いがしてとてもうれしい。ただ、戦いは始まったばかりで、戦いはまだまだ続く。これからも日本野球の技術の高さを世界に示して行って下さい。
本当に良かった。おめでとう。
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●予選:オーストラリア戦敗退
何か最初から流れが日本になかったような気がする。キューバより格下相手のオーストラリアに負けた。しかし、これもまた野球なのだ。野球の神様はチャンスを公平に両チームに分け与える。今日は日本がチャンスをつかみそこねただけだ。
今日のことは一切、反省しないように。忘れてください。そして、明後日は全員が真っ白な気持ちでグラウンドに立てるようにしてください。次があります。何度も言うように、今日のことは反省しないように。明後日真っ白な気持ちでグラウンドに立つことの方が重要です。
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○予選:ギリシア戦勝利(1位で決勝Tに進出)
ギリシャ戦、お疲れさまでした。そして予選リーグ1位通過、おめでとう。ここまで7試合を終え、猛暑の中、疲れもピークだと思う。ほぼ満身創痍(そうい)の状態でしょう。決勝トーナメントは精神力が勝負です。
己の限界がどこまであるのか、自分自身と向き合ってみてください。
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●決勝T:オーストラリア戦再敗退
お疲れさまでした。正直、とても悔しい。しかし、それ以上に諸君たちはもっと悔しいことでしょう。
諸君たちの最後まであきらめない姿勢がテレビを見ていた日本のファンの方たちに、たくさんの感動を与えていることは私もうれしい限りです。
勝っておごらず、負けてくさらず。
あしたの試合も今まで通り、全力で戦ってください。諸君たちのためのオリンピックだったと思うためには、有終の美を飾ることがとても大切です。
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○決勝Tカナダ戦勝利(銅メダル獲得)
アテネでの長い戦い、本当にお疲れさまでした。けが人も多数出ていると聞いています。みんなボロボロになるまで、よく戦い抜いてくれた。きのう(24日)の負けを引きずらず、きょう(25日)有終の美を飾れたことは、諸君たちの精神力の高さの証明です。この精神は、日本のファンの方たちが見ていました。
今大会、私の中には金メダル以上のものがいくつかあります。
キューバに勝ち、日本プロ野球のレベルの高さを世界に示せたこと。日本のファンの方たちが野球というスポーツを通じて一喜一憂したこと。チーム間の壁を超えて本当に一つにまとまってくれたこと。そして一番は、諸君たちが得たものです。これは誰もが得られるものではありません。諸君たちは今回、アテネで得たものを決して忘れてはなりません。
野球というスポーツの楽しさを再認識してくれたファンもたくさんいることでしょう。
日本へは胸を張って帰ってきてください。本当によくやってくれた。
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各所のコメントで、勝負に対する責任感がひしひしと感じられ、やはり「監督」なのだな、と改めて思いました。とくに、最初にオーストラリアに負けた後の「今日のことは一切、反省しないように。忘れてください。」というのが、なんだか凄いな、と思いました。
また、報道各社において、長嶋監督のコメントに対する論評のたぐいがほとんど無かったというのも印象的でした。
日本の野球界がゴタゴタしている2004年の夏において、プロ選手たちの「高校野球のような」爽やかな挑戦とひたむきな態度は、野球というスポーツに対する尊敬の表現だったのではないかととも思えてきます。
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