10年後の「読者」像と名付けられたシンポジウムに行ってきました。主催は日本印刷技術協会(JAGAT)という団体です。(案内ページ)
会社にシンポジウムの案内FAXが来ていたのを見て、有料ではありましたが、参加してきました。感銘を受けた<不良>のための文章術という本の著者・永江朗さん、そして(株)はてなの近藤社長の講演があるということが決め手でした。
ほぼ一日のシンポジウムで、様々な発言が出ていましたが、参加者が仰っていたことを私が受け取った印象として手短にまとめてみました。
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○本とコンピュータ編集長 仲俣暁生さん(このシンポジウムのモデレータ)
→活字離れや出版界の衰退とは別次元で「読者とは」と考える為にこのシンポジウムを企画。書店の変遷という軸と、ネットでの文章のやりとりの変化という軸で考える。
○ライター 永江朗さん
→書店の変遷というテーマで講演。ブックオフや、インターネットの普及・図書館の充実等で、文章に接する様式はきわめて多様化してきており、これまでの出版→取次→書店というスタイルは低下。今後の課題は、多様化に対応した「お金を払うモデル」の確立。
○(株)はてな 代表取締役 近藤淳也さん
→情報との接し方を「受動的閲覧/能動的閲覧/参加型閲覧/情報発信/コミュニケーション/個人的記録」に分類。既存メディアと異なり、ネットメディアはこのほとんどをカバーできる分、有利であるとの考え。
○(株)バーチャルクラスター 代表取締役 深水英一郎さん
→まぐまぐの創始者である同氏は、主にメーリングリスト(ML)というメディアについて講演。有料化している流れを指摘。また現在は「ちゃぶろ」を展開。ブログの日記化(自分の経験の記述)はオカシイという意見。
○Hotwired Japan編集長 江坂健さん
→Webで文字・文章を読むという習慣が確立されてきた歴史について講演。昔は「モニタでは長文は読めない」と言われ、Hotwiredは画面遷移・動画・音声に凝ったが、結局シンプルな文字メディアに戻っていった。
○国際大学GLOCOM助教授 東浩紀さん
→今の出版業界は、読者が求めるよりもデザイン・校閲等にコストを掛けすぎている。ほとんどの読者には、ただテキストを伝えるだけで十分。
○(有)ヌーディ取締役 松岡裕典さん
→書籍は非同期でも耐えられるコミュニケーションで、ネットは同期が必要なコミュニケーション(同期→前提条件の共有が必要な割合、とも言えます)。雑誌はその中間。
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雰囲気は伝わりますでしょうか?(笑)
文章を読むということについて「本・文章へのアクセス」から「ブラウザで文字を読む」ところまで、様々な角度の意見が出たのは、とてもタメになりました。また、ネット上の検索のあり方などについても話があると、なお良かったなと思いました。
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