まるでNPO(非営利団体)だべ~
結婚式に出席するために訪れた、雪深い、東北地方の小さな街。
こんな街で、宴会の後の二次会といえば「スナック」です。
ほろ酔いの我々7人は、木目のドアを開けて、入り口付近に座りました。全員、東京からの旅行者です。
店の奥のテーブルでは既に、先客のグループが大騒ぎしていました。「五分刈り、ソリ込み、でも優しい笑顔」「金時計・金のネックレス・金歯」「口元は優しい、キツネ目の男」その他、羽振りの良さそうなオジさんたちが十数人と、なぜかオバちゃんが一人のグループ。そして、コンパニオンと呼ばれる若い女性7~8人がついていました。
カラオケの名手が立ち替わりマイクを握り、のど自慢クラスの歌声を披露しています。それにあわせ、コンパニオンとオジサンたちで、濃厚なチークダンスを踊っています。いわゆる酒池肉林。
我々のグループは間もなく、妙なもやもや感を感じ始めました。その店はスナックといっても、普通では女性がつく感じのお店ではありませんでした。対抗してコンパニオンを呼ぶつもりは毛頭無いですが、せめて、カラオケだけは負けたくない!
なにしろ、こちらのグループも、数々の商談・接待をくぐり抜けてきた「営業」軍団なのでした。
☆グリークラブ出身!いつでもハモれるI取締役
☆眼鏡の奥の優しい瞳も歌声も、甘くて切ないM課長
☆タオルを頭に巻いて長渕剛をうたえば、誰もが振り向くK主任
☆目線・歌声・体の動き、全てが「矢沢永吉」のO課長
と、飛び道具が満載☆。そんな我々からのカラオケリクエストが、宣戦布告となりました。
「♪九段下の~駅へ向かう~」のところでハモる『大きなタマネギの下で(爆風スランプ)』から始まり、『Somebody's Night(矢沢永吉)』『乾杯(長渕剛)』と、波状攻撃を繰り出します。最初はマイクを取られてご機嫌斜めだった奥のグループも、こちらの歌唱力ですっかりノって来ました。ヤザワー!とコールしたり、「乾杯」をみんなで歌いだしたり。
しかし、むこうの歌い手も負けていません。“みちのくの松山千春”が登場し、「長い夜」を歌いながらみんなと握手して回ります。もう、店全体で大盛り上がり。
これぞまさに歌合戦。こちら側も勝負をかけて、「ラブユー東京(黒沢 明とロス・プリモス)」をリクエスト。マイクを握って立ち上がるのは、「歌声が甘くて切ない」M課長41歳!我らの征夷大将軍!
…ところが。
そういえば、奥のグループの酒池肉林の中に、60歳くらいのオバちゃんが一人いたのです。柴田理恵の母のようなそのオバちゃんは、M課長に熱~い視線を送っていたらしく…。
M課長が「ラブユー東京」を歌おうとしたまさにその時、オバちゃんも立ち上がり「一緒に歌ってイイかしら~?」。
驚愕するM課長。
でも結局デュエットすることに。
しかもチークダンス。
若いコンパニオンのいるグループの中で、明らかにそのオバちゃんは浮いていたのでしょう。M課長の腰に手を回し、すんごく嬉しそうに歌って踊っていました。
そんな光景を見て、向こうのグループの一人が、コンパニオンをはべらせながら言いました。
「君達ありがとう!まるでNPOだべ~!」
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