このたびのJR福知山線の事故で、妹さんを亡くした方が、テレビのインタビューに、このように答えていました。
「JRだけの責任とか、そういう話じゃないんだよ。社会のゆるみとか、そういうものに殺されたんだ。(報道陣、マスコミにむかって)あんたたちの責任だよ!俺も…そうかもしれないけど!」
ものすごく印象的でした。
社会、社会人が、自分の仕事でミスを犯す原因は、
・前準備の問題(本人の認識・習熟不足、周囲との連絡不足)
・実行時の問題(体調、精神状態の不全)
とまあ、書いてしまえば簡単なことですが、実行するにはそれなりの難易度があります。前準備なんて、どこまでやるか、青天井の話です。
このところの報道で、JR福知山線の過密ダイヤが取りざたされています。周辺私鉄との競争の為、とのこと。しかし、この手の話はJR西日本だけの特異な問題ではないし、そもそも交通機関だけの問題ではありません。工業製品の生産、生鮮品の品質、すべてにおいて「市場経済」が求めるままに高度化されています。
あまっちょろい私の考えを申し上げると、これだけ学問・技術が発展しているのに、なぜ人間に求められる条件がこれだけシビアになっているのか、理解できません。
洗濯も機械がやってくれる。調理もこれまでより格段に手軽に出来る様になっている。天気予報もこれだけ当たる様になってきている。車のつくりもどんどん安全になっている。単純事務作業を代替する、IT技術は日進月歩であります。
なのになぜ、人間に求められる条件は、どんどんシビアになっていくのか。なぜ、ホリエモンの様に身を捨てて戦う様な、ギャンブル精神が求められるのか。人を騙す様な発想がもてはやされるのか。騙されない様にするための保身に、心血を注がなければならないのか。
人間はミスを犯します。これが社会のゆるみだとするならば、やって良いミスはどんなミスで、やっていけないミスはどんなミスなのか、それを見極めていくことで、そのゆるみを減らすしかありません。逆に、その見極めを間違え続けていることが、僕らの社会のゆるみを増大させている様に思います。
「(報道陣、マスコミにむかって)あんたたちの責任だよ!俺も…そうかもしれないけど!」
ただJR西日本という企業の外面だけを悪者とし、労働組合の幹部が言うことをそのまま垂れ流しに放送し、今回の事件を稚拙で単純な物語に押し込めようとする一部マスコミの態度は、社会のゆるみを増大させつづけていくものだと思います。
最近のコメント