“本当は怖い”金八先生の授業
世界一受けたい授業というTV番組で、「金八先生」こと武田鉄矢さんが、「日本の昔話:隠された意味」について「授業」をしていました。なんだか「本当は怖いグリム童話」みたいな話ですが。
いつものように「立て板に水」のごとく喋る金八先生。まずは、ネッカーキューブについて説明。

1と思っても2と思っても良いんですけど、両方想起できる人はなかなかいない、と思われます。同様に、「人間は、一つの文章について、ただ一つの解釈だけをしやすい」ということを主張しました。
そして、以下4つの有名な昔話について「通常の解釈」と「(隠れた)金八流解釈」を説明していきました。(あらすじは記載しませんので、詳しくは番組HPなどを見て下さい)
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1.かさじぞう
◎通常の解釈:良いことをすると、報いが来る。
☆金八流解釈:おじいさんは、街へ笠を売りに行くときも、地蔵様の前を通ったはずだ。しかし、売ることばかり考えて、素通りした(だから売れなかった?)。しかし、街で売れなかったという失敗経験が、地蔵様に施しをしようという精神につながった。人生において失敗をするという事は、新しいものの見方ができるチャンスだ。
2.ももたろう
◎通常の解釈:おじいさんとおばあさんに育てられた恩を、武勇で報いた。
☆金八流解釈:桃太郎はいじめられっ子である。なぜ桃太郎は、他の誰も行かない危険な鬼退治にわざわざ行ったのか?桃太郎には、母親に育てられてないというコンプレックスがある。(母子愛を象徴する動物である)イヌ・サル・キジを連れているというのも、その暗示だ。そのコンプレックス(おそらく学校でいじめられている)を、逆に自分のバネに変え、跳ね返すために鬼退治という「他の人には出来ないチャレンジ」をして成功した。
#イヌ…犬帯に象徴される安産・多産の動物 / キジ…子を守るために銃で打たれた振りをして犠牲になる / サル…子を抱えて離さない、母子愛の動物
3.いっすんぼうし
◎通常の解釈:小さな体でも、それを利点に変えて鬼の口に飛び込み鬼退治に成功。
☆金八流解釈:「自立」がテーマだ。体が小さくても、一人で修行し生きていこうとした。箸・針・茶碗という、自立のための日常生活の道具を武器にしたのも、その暗示である。
4.うらしまたろう
◎通常の解釈:亀を助けて、良い報いがあった。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎゆく。
☆金八流解釈:浦島太郎はニートだ。母と二人暮らしで独身。竜宮城で乙姫と夫婦の関係になるわけでもなく歓待を受けるのみ。メイド的だ。四方の窓からは春夏秋冬の季節が同時に見えるなど、竜宮城はまさにヴァーチャル空間。アキバだ。浦島太郎はオタクだ。そんなことをやっているとすぐにジジイになって人生が終わるぞ。
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少々オヒレをつけてますが(とくに最後は)、金八さんの話は、だいたいこんな話でした。
一つの文章を読むのに、一つの解釈だけで満足してはいけない、と言う点については、「そのとおりだ」と思います(先日このブログにも書きました→記事)。上記の物語の解説内容も、少々強引だが、そう言う見方も出来るのね、と思いました。
…が。
それよりも、なんだか「金八先生、怖いなぁ」と思いました。上記の説明での話し方の、特に「ももたろう」についてなんですけどね。嬉々として「桃から生まれた、なんて、きっと友達に言えないから、ももたろうはクラスでいじめられますよね~」と話す金八先生っていうのは、教育者の目っていうより、生態観察の域なのかな、という印象を受けました。他にも、「一寸法師は背が低いのが欠点・欠点・ケッテン」とか「浦島太郎は母親と二人暮らしってどうよ」とか。
ちょっと冷たいなぁ、と。
まあ、「一人の俳優が子役達を見ている」というのが本職で現実なんですから、当たり前なんですけど。結局、私自身が、武田鉄矢というネッカーキューブを、見誤っていただけのこと、なんでしょうけどね。
補足:
桃太郎が連れている動物については、十二支における方角(申・酉・戌=いずれも西)に意味があるのではないか、という説もあります。
参考:
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