「太陽の子」
灰谷健次郎さんの「太陽の子」を読みました。本屋の「夏休みに読みたい:10代向けの本」の棚で売られていましたが、なんだか気になって購入し、そして一気に読みました。久々に、心が揺さ振られる思いがしました。
時は昭和50年代。両親が沖縄出身で、神戸に移住し、沖縄料理屋を開いている家の、小学校6年生の女の子「ふうちゃん」の話。生と死、親と子、学校教育、地域社会、そして沖縄と日本というテーマの中、ふうちゃんが本当の意味で大人の階段を上っていきます。
なぜ児童文学の本を今更読み始めたか?-僕は昔、国語が苦手で、読書が嫌いでした。「課題図書」と言われるものにも、あまり真剣に向き合ってませんでした。昔の夏休みに置き忘れた物を取りに行くような、そんな感覚で手に取りました。また、先日旅行した神戸の街が舞台であり、大好きな沖縄がテーマの一つであることから、この本を購入しました。
心がどう揺さ振られたのか?テーマを「生と死、親と子、学校教育、地域社会、そして沖縄」と書きましたが、これらがとても「普通」に書かれていることが、一番揺さ振られました。これらテーマのあるべき姿というか、美しい姿というか、そういった物がくっきりと描かれています。この「くっきりさ」が、とても綺麗な景色を少しずつ確かめながら見ているような、そんな感動を与えてくれました。
主人公のふうちゃんを思い浮かべると、ちょうどいい湯加減の温泉に入ったときの様な、胸がふうっと落ち着くような感覚がします。揺さ振られて、ふうっとなるという、この本は僕にとって「心のマッサージ」でした。
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