思考の整理学
筑摩書房 (1986/04)
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仕事法のエッセンス
現代でも通用する考え
知的生産の方法を簡潔に語る好著外山滋比古さんのお名前は聞いていましたが、著書を読んだのはこれが初めてです。エッセイ形式ですが、内容のぎゅっと詰まった良い本です。内容をつらつらと並べてみると、
・人に教わる=グライダーより、自分で考える=飛行機が大事。
・一つの考えや分野に集中するより、多分野の考え・多数の人の考えをカクテル。
・物を考えるのに適しているのは、三上(馬上・枕上・厠上)、空腹時。
・アイディアは、思考を寝かせ、ほかのことを考えていると浮かぶ(発酵・セレンディピティ)
・ブレインストーミングは有効。批判はマイナス。
・編集者は大事な二次創作者。
・時の試練を経た古典やことわざを大事に。
・素読も大事。
・しゃべる、書く、も大事。
・本には書かれていない、現実に根ざした知恵(暗黙知)も大事
とまあ、近頃ではありふれた内容ではあるものの、20年も前の本ですから当時は新鮮だったのでしょう。「わからない」という方法 (橋本治)や、アイデアのつくり方(ジェームス・ヤング)、あるいは知識創造の方法論―ナレッジワーカーの作法(野中郁次郎)などとも通じるものがあります。
いくつかあるテーマの中で、私がおもしろいと思ったのは、「アナロジー」という項目です。ある疑問があるとき、それを解決する糸口として、感覚が似たようなものを考えてみるということです。
以下は私の考えた例。
「コンピュータはものを考えられるのか?」という疑問があったとします。それに対して「それは、潜水艦は泳げるのか?という疑問に似ている」とします。で、泳げるとか考えられるという動詞は、誰かが操作して行う場合には使わない、と判断します。
もちろん、アナロジーは危険な要因を含みますので、それで正しいと言い切ることはできませんが、着想の糸口としてはおもしろいですよね。
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